ミニマリストアツシのア通信

暮らし方や持ち物、暮らしの最適化について

衝撃の一文から始まる小説。きりこについて

僕は本を読むのが好きだ。

本屋に行った時に、目に付く本とか

帯のコピーに惹かれて買ったりするんだけど

 

 

案外、その時の自分に必要な言葉に出会えたりする。

そんな時、やっぱり活字の強さってあるよなーと思う。

 

 

で、今日の話は西 加奈子さん

「きりこについて」という小説についてだ。

 

これも何気なく手に取った小説だったんだけど

なんというか、読み終わった後に

すごく響くところがあったのだ。

 

 

 

物語はなんとも破壊力のある一文から始まる。

 

きりこは、ぶすである。

 

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ガビーーーーン!!!!

Σ(゜Д゜lll)

 

 

吾輩は猫である。名前はまだ無い。(夏目漱石)の出だしも

たいがい頭に残るフレーズランキング上位に食い込んでくるけど

 

きりこは、ぶすである。(西 加奈子)

という一文から始まる小説は、かなり衝撃的だった。

 

 

ぶすってー!!Σ(゜Д゜ll)ぶすといっても

感じ方は人それぞれですやん!と思わずツッコみたくなる。

 

するとそこは、さすが西さん。

衝撃の一文の後の文章はこう続いている。

 

誰かを、ぶす、と感じるのは人それぞれ、千差万別だから、

こう、のっけから「ぶすだ」と断定するのは早急だし、きけん!

なことかもしれない。でも、例えば百人の日本人、働き盛りの男の人、

若いお母さん、やんちゃな小学生、照れ屋の中学生、大人ぶる高校生、

年老いたジャズプレーヤー、フランスかぶれの女の人、メタボリックな社長、詐欺で身をたてている女、とにかくランダムに、出来るだけまばらに、色んな人を集めて、その人たち皆にきりこを見てもらい、「どうか正直に言ってほしい」とお願いしたら、きっと九十七人、いや九十八人、もうちょっと頑張って九十九人、こうなったらやけくそで百人!は、

ぶすである」と、言うだろう。

 

うん。分かった。

とにかく ここまでで分かったことと言えば

きりこがぶすだということだ。

 

それだけは、はっきり分かった。

さらに本文では、もうダメ押しのように

きりこがぶすであるという事実を提供してくれている。

 

ページ数にして約1ページ、きりこがぶすであるという

どうしようもない事実について懇々と書かれている。

 

これはちょっとなんとなく行き詰ってる、悩んでいる

そういう人にぜひ一読してもらいたい本だ。

 

僕はこの小説を読んで西さんの強い想いを感じました。

 

この小説は西さんから今を生きる人への

世の中を生きやすくするヒントがたくさん詰まった

メッセージなのだと。

彼女の命との向き合い方がとても素敵だなと。

 

ここからはどうしても本文中のことが出てくるので

ちょっと読んでみよっかなと思った方にはおススメいたしません!

 

それでは、レッツラゴー(古い)

 

 

この小説を読んですごく色々と感じることがあって。

思ったんですよ。

 

人間ってやっぱり、すごく煩悩があるよなって。

 

周りからみたら些細に見えることでも

本人にとっては重大な悩みがあったり

 

日々を生きている中で

虚無感を感じたりすることもあったり

 

とにかく僕らは色々なことで

悩んだり、考えたり、立ち止まったりする。

 

この小説で言うと、

「主人公きりこのぶすである」

という事実はどうしようもなく大きい。

 

僕は、この話って

小説だけど小説じゃないと思っていて。

 

実際に

現実でもあるよなっていうリアリティーがある

なって思ったんです。

 

 

正直言って外見がぶすだという事実は

この世界を生きていく上で、生きずらさにつながる可能性がある。

それはもう、ふんだんにある。

 

なんやかんやあっても、容姿(外見)は大事だ。

実際に、容姿の悩みを抱えている人はリアルにいるし

僕も昔、同じように悩んだ経験が多々ある。

 

じゃあなんで悩むのかというと

そこには他人という存在が大きく関わっている、と思う。

 

もしも世界に

自分1人しか存在していなかったら

どうだろう。

 

自分が ぶすだろうが、デブだろうが、鼻が低かろうが、背が低かろうが

ぶっちゃけ

 

関係ないさ~~~~~~!!!!

(大西ライオン)

と誰もが自信満々に言ってのけるだろう。

 

 

やっぱり容姿の悩みも、他の悩みも他人がいるから

もっと詳しく言う他人の目が気になるというところから

きているのだと思う。

 

僕が僕として生まれてきたように

あなたがあなたとして生まれてきたように

 

僕はどこまでいっても僕として生きていくし

あなたはどこまでいってもあなたとして生きていく。

 

その事実は変わらないわけで。

 

 

僕らは色々なことを抱えながら

この世界を生きている。

 

ひとつの生命として今、いきている。

この小説を読んで改めて感じたのは

世界を生きやすくする方法はただ一つだと。

 

 

自分で自分を愛すること

 

それ以外に何かをする必要なんて何もない。

 

 

この小説は僕たちが言葉に出来ない感情

すごく的確に表現しているシーンが沢山ある。

ほんと西さんは、すごい。

 

詳しくは小説を読んで体感してもらいたい!

 

とにかく何よりも大切なのは

僕らが僕ら自身を愛するということ、だ。

 

 

僕は僕として生まれ

あなたはあたなとして生まれ

好きな服を着て

心が喜ぶことをして

自分の身体を大切にして

行きたいとこに行き

やりたいことをやり

会いたい人に会い

言いたいことを言う

 

 

誰がそのことを間違っている、おかしいと、言うことが出来るのだろうか

そんなことは誰にも言えないんだ。

 

仮に間違っている、おかしいと言ってくる人がいたって

それはその人の価値観ではそうなだけであって

他人にその価値観を押し付けてくるのは、また別の話なのだ。

 

こっちは知ったこっちゃない。

その価値観に合わせる必要なんて全くない。全くだ。

 

自分を愛するということは

何をやってもそんな自分に

オールライト!と言えることだと思うんだ。

 

そんな中で一番大切なのは

何をすれば自分が幸せを感じるのかを思い出すこと

だと思っていて。

 

そしてその欲求を日常の中で

どんな些細なことでもいいから叶え続けてあげる。

自分を満たし続けてあげる。

 

それが僕らが生まれてきた理由だと思うんだ。

 

 

どんなにひどい状況になっても

それでも自分を愛する。

 

そう決めることだ。

 

 

自分の意識次第で世界の見え方は一変する。

 

 

きりこについて (角川文庫)

きりこについて (角川文庫)